【君に会いたくて】
会いたくても会えない人がいる。
会えないと思うからなおさら思いが募る。
この世にいる人なら何らかの方法を使えば会える可能性があるけど、この世にいない人はどんなに手を尽くしても会えない。
だから余計に会いたい。
それは慕う気持ちが今なおあるからだ。
その一方で
生きているうちに言えなかった文句や不満を言いたくて会いたいと思う相手がいないわけではない。
でもそんなことに時間や労力、感情を使うのはムダなこと。
わかっているけどさんざんな思いをさせられ挙げ句の果てに死んでからまで、その負の遺産に悩まされていると、面と向かって文句の1つも言いたくなるのだ。
しかし、そういう相手を君とは呼ばない。あいつ、お前、とんでもない奴、そんな呼び名が似合うだろう。
だから「君に会いたくて」というのは、私にとって本当に大切な愛おしい唯一無二かけがえのないあなたなのだ。
会って何をするのかと言えば、ただお礼を言いたい、感謝を伝えたい。
生きているときにもその時々に伝えてきたつもりだったけれど、今が最期というときに改めて伝えたかったのだ。
別れは突然である。
だからそんな「君」がいるならば、悔いのないように今から伝えておかなければならないだろう。
でも、あらたまって
「本当にありがとう」なんて言ったら、今、この世に生きている君はきっと「ギョッ」として訝しげに私を見るに違いない。
伝えるというのはなかなか難しいものだ。
1/20/2024, 6:39:06 AM