山百合

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・3『嵐が来ようとも』

女の人に手を引かれ屋台の並ぶ通りを歩かされた。
抵抗したが周りも気にしていないし、見ていない。
助けてもらえそうになかった。

泣きそうになった。こわい、帰りたい。

急に女の人は立ち止まって
「はい」
と屋台の焼きそばのパックを渡してきた。
棒の抜かれたボロボロのフランクフルトも乗っていた。

ベンチに座ってとにかく食べた。泣きたかったけど
食べたら解放されると思った。
天気が急に変わって雷が、光った
そのうちに雨がポッポツと大きな雨粒になってきた。

「うちが近いから行こ」と
また引っ張られそうになった。

今嵐が来ても女の人の家に行きたくなかった

【続く】

7/29/2024, 3:34:16 PM