名無し

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   日差し



梅雨にしては日差しが強くて、からっとした暑さがあった日のことだった。

テスト週間の一歩手前、そんな時期にもうあなたと勉強できるのはテスト終わるまでないだろうなって思って無理やり予約を取り付けた。

あなたの部屋はいつでも柑橘系の匂いがしたけど、その日は一段といい匂いがした気がする。



日差しに照らされて少し白くなったワークの表紙。

きらきらとした昼下がりの光が当たってまるで宝石みたいに輝いているあなたの髪、真剣な表情。

その光景がいつもより非日常的で、甘さを含んでいるように見えて、

「この問題わかる?」

そんな何気ない一言が出てこなかった。




7/2/2024, 3:44:36 PM