小説
迅嵐
「友達とか…仲間とか...そんなありきたりな関係に向ける気持ちだったらこんなことしてない」
隣にある肩に頭を預け、筋張った手を握ってみる。
大袈裟に跳ねる迅の様子に笑いを零す。
「...じゃあどんな感情?」
「...それは...分かるだろう?」
言葉にすることが恥ずかしくて、つい濁してしまう。
その事が不服だったのか、握った手が強く握り返される。
「わかんない、教えてよ」
困ったような、期待しているような顔で覗き込まれる。その顔がどこか愛する飼い犬に似ている気がして。
「好きってこと」
俺は斜め横にある大好きな人の頬に、そっとキスをしたのだった。
12/10/2024, 12:15:48 PM