「雨に佇む」
プププップププッ
Rain 10m
視界の隅に表示される。
雨か…
雨は嫌いだ、最悪と最愛の人を思い出す。
もう何年経ったかも数えられないくらい時間が過ぎた。
「陛下…」
「ギルか、その呼び方は止めてくれないか」
「失礼致しました。」
「わかったか?」
「は!やはり、へ…ドウジン様の睨んだとおり、ガイア移住計画に反対する組織が動いているようです。」
「そうか…ヒトから争いを無くすことは年月が幾ら経っても難しいのは変わらないものなのか…」
「表立って争いは起こしたくない、だが、なるべく早く詳細を調べて欲しい」
「かしこまりました。」
「いつもすまない」
「いえ、お二人が永く見守ってこられたからこそ、現在の穏和な日々を過ごせているのです。」
「それは違うぞ、ワタシ達は、ただ、誰よりも永く時間を過ごしただけに過ぎない」
「おまえ達には、すまないと思っている。」
「そんな事仰らないでください。私どもは陛下レ…」
「もうよそう…その名も口にするな」
ギルが黙って唇を噛み締める。
二人の間を雨が混じった風が通っていく。
晴れているのに雨が降る
遠くに虹も見える
ただ、君が居ない…
君が好きだったこの場所で
ただ…雨に佇む
8/28/2022, 10:11:53 AM