「……テイちゃん…いねぇ」
「…だから言ったじゃん…テイちゃん、
婆ちゃん達と京都観光に行ったんだって」
朝起きて、弟(兄)がいない!と騒ぎ、オレの背中に乗っかり、村中を探し歩かせ、やっぱりいないことを理解した姉が、うなだれている。
「……ババァ」
「コラコラ…はい、家着いたから、降りて」
「ちぃっ…テイちゃんなら、じゅっと
おぶてくれるでにっ…」
…でしょうね、テイちゃんは姉さんを一日中
抱えている時もある。嫌な顔一つせず、むしろ
笑顔で、時折姉さんと目を合わせ、楽しげに。
「前の…テイちゃんともそんな感じだったの?」
前の、とはテイちゃんが姉さんの弟になる前、
姉さんの恋人だった頃を指す…が、この話は、
まずかったかな…?言ってから焦る。…が。
「ふ~ふふっ変わらぬぃ~びょ♪︎」
意外と大丈夫なんだ…。
「ぜも、カマレはオラだけに優すがったんょ、
ほがのぬんげんとば、口もきかんがっだんょ、
…ぁ~ババァババァテイちゃん返せぃ…!」
カマレはテイちゃんの前の名前だ。
人当たりの良い、今のテイちゃんとは、
真逆の感じだなぁ。生まれ変わる時に、今度は
こうなろうって決めたんだ、テイちゃんのこと
だから、姉さんを、あらゆる面から守る為に。
…あれ?姉さんどこ行った??
「テイちゃぁぁん♡オラを置いでったなぁ♡
おすおき♡すでやっかんなぁぁぁ~♡♡」
…さて、テイちゃんは、オレが守る…!!!
3/13/2023, 1:20:33 AM