ねえ、この服はどう?女の子っぽくてかわいいよ!
ふりふりした揺れるスカート、春色のリボンがついたシャツ。
身長が高くて、真っ黒な服を着ている私。全く真逆な存在が、目の前に現れる。
男みたいな私を見かねて、貴女は洋服を選んであげると言った。
おひめさまみたいな、きらきらした服は私に似合わない。ああいうのは目の前の貴女みたいなこがよく似合うね。
貴女の事が、喉から手が出るほど羨ましいよ。私もかわいく生まれたかった。
好きなものを好きなように着れていいな。
あのあと、服はとりあえず保留にして他のお店へ移動することにした。
次のお店までの数メートル。たまたま目に入った着物屋さん。
ショーウィンドウのお着物と帯を見て、これなら着てみたいかもって思った。
店内に入ると、姿勢のいいおばあさまが出迎えてくれた。
お着物をみてると、こないだ入ったから着てみてほしいって言ってくれた。
着付けがわからないと言うと、やってあげると言ってくれた。
桜色の直線的な布をまとい、帯留めを見てた貴女に見せた。
すっごい綺麗!
そう言ってくれて安心した。
とっても気に入って、すぐ買っちゃった。
着たまままわりなよって貴女が言った。カレー食べに行く予定も無いからそうした。
ぴしって背筋が伸びて、自信が出た。
だから、たまにはふりふりした服も着ようかなって貴女に言うと、嬉しそうな顔。
ああ、買ってよかった。
3/6/2023, 7:38:53 AM