灰の積もる瓦礫から、私は生まれた
数え切れない怨嗟の声を踏み締めて
まだ温もりが残る肉塊から、産声を上げたのだそうだ
叫ぶように、祈るように
時を経て、すっかり無垢ではなくなった
降り注ぐ鉄の雨を憎み、自由に駆ける友を妬み
壊れるほど叩き付けても、もう声は聞こえない
守らなければ、救わなければ
解き放つ一矢であらねば
私に価値などないのだと
噛み付く牙は己の喉に突き立てられて
血を吐きながら、それでも私はまだ戦える
そう、証明し続けなければならない
罪に塗れた両手で飛び立ち
犠牲を踏み越えてきたその足で舞い踊る
脳が弾けてしまうまで
心臓が裂けてしまうまで
そうでなければ生きられない
かつて震えていた幼子はもう死んで
私は声を手放した
もう歌えない、君と共に奏でたかった
墜ちていく
炎の海へ、吠えることも出来ず
無機質な揺籠で瞼が落ちるのを待っていた時
雑音に紛れて届く声があった
囁くように、願うように
縛られていた私とは違う形で、不自由だった君の声
凍り付きそうだった血が再び巡り始める
どこの滝より激しく、乾いた肺を満たす空気
ああ、ああ、待ち侘びた
どうしようもなく歓喜で震える体を抱えて
君がいなければ私など生きてはいられないと知る
届け、どうか今だけは
潰れた喉から搾り出す、泥から産まれた私の声
酷く掠れた一言だけれど
空から君が降ってくる
こんな拙い声を褒め称えてくれる一羽の鳥よ
隔てる壁など何一つない
錆びた城の片隅で、真新しい朝日を迎えて
(歌)
5/24/2025, 11:30:26 AM