こんな夢を見た。日雇いで、郵便物を代わりに配達することになった。諸事情で届かなかったものらしく、待ち続けている人がいるので、なるべく早くとのこと。バッグの中には、手紙やハガキの束がどっさり入っている。束をまとめている輪ゴムがはち切れそうだ。肩にかけると、ズンッと重みが掛かってきた。これが、届かぬ思いの重さか。地域ごとに仕分けられた郵便物の束片手に、駆け回った。配達を終えるごとに、バッグと私の心は軽くなっていく。あと少しだ、この手紙の束を届ければ配達は完了だ。意気揚々と私は手紙の住所を確認する。
「…?この束、全部同じ住所だ」
首を傾げながら、書かれた住所に向かうと自分の家だった。
「え?これ、全部私宛ての手紙…?」
その場で、手紙の一つを開封する。配達は完了したし自分宛てのものだし、と言い訳をしながら中身を広げた。
「ひぃっ…!」
便箋には海老茶色に変色したインクで『好きです、付き合ってください』と大きく書かれていた。他の手紙も開封してみた。
『ずっと見てました。お話したいです』
『今日も可愛いです。こっちを見てください』
『大好きです。お返事下さい』
大体、そんな内容ばかりだった。何だか鉄臭い。
『どうして返事くれないんですか?』
『好きなのにどうして』
「これ、もしかして血?」
恐怖を感じながらも、開封する手は止まらない。
『ぼくとは遊びなんですか?』
『ぼくを弄んだんですね。ひどいです』
最後の手紙を開封した。
『あなたを殺してぼくも死にます。死んで一緒になりましょう』
「やっと、会えましたね」
背後からの声に驚き、手紙を取り落とす。振り向くと同時に、銀色に光る何かが私に振り上げられた。
4/16/2026, 2:48:45 AM