アシュリー

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『やわらかな光』

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山登りというのはこんな険しいものなのか…
と、思うのにも訳がある。


先日、友人からハイキングに誘われた。
私の友人には山好きが多く(反面私はインドア派で体力もあまりないのだが)、普段は私以外のメンバーでハイキングに行っているらしいのだ。
ところが今日は、何故だか私が誘われた。理由を聞いてみたら…「お前がいた方がなんか楽しそうだから!」という、なんとも中身のないというか、陽を感じるというか、なんというか…
まあ、誘われたことは素直に嬉しいので、とりあえずハイキングの心得を大量の資料を使って調べようと思う。ネットで検索するだけなのだが。

…ふむ、とりあえず、トレッキングシューズ?なるものを用意して、気温の変化にも対応できるように重ね着を…
……なんだか用意が面倒そうだ。友達はみんな毎回こんなに用意してるのか?趣味だからできる芸当であって、私のような人が踏み入れるべき領域では無いような気もする。
だが、「リフレッシュになる」らしいので、もしかしたら普段外に(あまり)出ない私を気遣って誘ってくれたのかもしれない。そう考えたら、まさかバックれるなんてことは出来ない(そもそも友達の誘いを断るほど薄情な人間でもないが)。


と、いうわけで、私は今山登りをさせられている。話と違うじゃないか!
調べたところによると、「ハイキング」は「登山」より軽いものであって、こんなゼェゼェしながらやるようなものではない…はずだが…
そんな私の様子を伺いつつではあるが、友達は平気でスイスイと山を登っていく。百鬼夜行に紛れ込んでしまったような感覚だ。まだ昼だけれど。
でも実際、夜のような感覚だ。なぜなら、今登っている道は木が生い茂っていて、陽の光がほとんど入ってこないからである。木漏れ日すら珍しい程だ。
正直、もう休みたい!たしかに自然と触れることはいいのだが、ここまできついとまた別の方向で疲れが溜まる。と言いたいが、友達があまりにも疲れを見せないので、多分私が運動不足なのだろう。そう考えたら、口が裂けても休みたいなんて言い出せない。

何とか必死で(本当に死ぬ気で)友達の後に続き、とりあえずはぐれることなく登りきった。日が出ているうちに登り切れるとは。いや、日が出ていないとダメなんだっけか。
「楽しかったかー?」と友達のひとりが叫ぶ。いや、楽しいどころか疲れたわ!と返しかけたが、思い返すとちょっと楽しかった気もする。運動って、案外大事なものなのだろうか。「楽しかったけどもうやりたくねぇ!」と返しておこう。


せっかく登山というひと仕事を終えたので、景色を見ることにしよう。
下を見ると、意外と道のりが長く険しいことに気がついた。登っている時はそこまで険しい道でなかったような気がする。配慮してくれたのだろうか?
にしても、ここまで登りきった自分を褒め讃えたい。普段動いてない割には頑張った方だと思う。
下を見た次は、上…つまり空を見る。
綺麗な夕焼けだ。日の沈む方向からオレンジ、ピンク、紫、青のグラデーションが形成されている。普段も見れない訳では無いが、今みると特別な夕日に見える。
太陽が、友達の代わりに祝っているのだろうか。




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ここまで読んで頂きありがとうございます!
先程の話を書いている途中、同じお題の別の話が浮かんだのですが、その頃にはハイキングの話が既に固まっていて…出す場所がないので後ろに書かせて頂こうと思います。読まなくても構いません。そもそも字数が千もないと思うので、半分没作品です、
それと、これまでの作品にいいねをつけてくださった方々、この作品を読んでくださった方々に御礼申し上げます。




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ああ…眠い、眠すぎる…
時刻は午前四時。私の中では、朝にランニングだとかする、健康志向の人が起きる時間だ。
こんな時間に起きてしまった理由?…簡単だ、アラームの設定時間を間違えた。二時間も!
たしかに6時にアラームを設定したつもりだったのだが、どうやら昨日の私は眠気で間違えて四時にして、その上気づかずに即眠りについたらしい。見直しが大事なのはテストだけでは無いな、と少し昔を思い出す。

にしても、二十三時に寝て四時に起きるのはさすがに寝足りない。私は毎日八時間は寝ないと気が済まない人類なのだ。
なら二度寝すればいい。と思って、寝ようとしてから30分が経過して今に至る。たしかに眠いのだけれど、アラームのせいで脳だけ覚醒してしまったらしい。
こういう分野には詳しくないが…脳が覚醒してても体が覚醒していなければ動けないのだろう?多分、それが今の私だ。
時間を見ることが、今の私に出来る行動の最大値。これを眠りにつくという方向に動かせたら、どれだけ良かったか。はあ、どうしたらいいのだろう。このまま、こんな意味不明な独り言を脳内で続けるしかないのだろうか?

少し窓に顔を向けると、カーテン越しにうっすら明かりが見える。私の家の近くには、確かに街頭はあれど、この部屋の窓の方向にはない。つまり、この光はほぼ100%太陽の光だ。まさか、私は四時から日の出までずっと寝れずに起きていたのか?信じたくない…
薄ら紫の窓(カーテン)を見つめながら、だんだん諦めと怒りが湧く。昨日の私を助走つけて殴りたい。何故アラームの時間を確認せずに寝たのか、小一時間問い詰めたい。
だんだん絶望感が湧いてくる。あれ、これはひょっとして不味いやつなのでは?と脳が理解してくるのだ。
そんなことを考えている間にも、時は進むし、日は登っていく。


そして、とうとう日が登りきってしまったようだ。カーテン越しでもわかる太陽の明るさ。これは間違いなく朝である。
あれから、本当に一睡も出来ずに朝を迎えてしまった。唯一の救いは、今日が休日ということだろうか…
カーテンをまだ開けていないので、布越しに薄められた光が部屋の光度を上げている。
その光は、私を嘲笑しているような、情けをかけているような…そんな光に感じた。

10/16/2024, 1:44:43 PM