瞼の裏に差す朝日で目が覚めた。
全身が鉛のように重い。
頭からにぶい痛みが、脈動と共に広がる。
髪は汗でベタつき、口の中はツバでねばついていた。
2日酔いだ。
2度とやるまいと誓った事を、どうして何回もしてしまうのだろうか。愚かだ、人間は愚か。いや、愚かなのは俺か……。
自己嫌悪と酒の残りで頭が痛い。
回らない頭で電子時計を見ると、午前11時。
1日ゴロゴロコース確定。
今日何も予定を入れなかった自分を、少しだけ褒める。
とりあえずベタついた口と喉の渇きを何とかしたい。
自分を励ましながら、のそのそと冷蔵庫へ向かった。
何かあったかなぁと考えながら、扉を開ける。いつもは軽い扉であるはずなのに、今は鋼鉄の門のようだ。
あ。
雑多な食材の中でも目についたのは、白い皿に載せられた薄切りの梨。
女房が用意してくれたのだろうか。
皿を取り出し、食卓に置いてラップを外す。
一切れつまんで口の中に運ぶ。
その瞬間みずみずしい甘さが口いっぱいに広がる。全身に染み渡る爽やかな果汁。噛めば噛むほど梨の甘みが増幅していく。
誓って言おう。
今この瞬間、これより上手い食べ物は地球上に存在しない、と。
あっという間に5切れを平らげ、コップの水をグビリと飲む。
1日ゴロゴロコースは取りやめ。
散歩にでも行こう、と洗面台へ向かった。
10/14/2025, 12:22:15 PM