いらない

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君の背中

泣いている君の涙を拭い、抱きしめる
泣き疲れた君をベッドに運び、髪を透かす
泣いて眠った君の頬に口づける
俺が君にできる唯一のこと

それだけでよかった
でも心のどこかでもっと君の力になりたい
君を泣かせるものから君を守ってやりたい
だから君から離れて君を守れる力がほしかった

そんなこと君は望んでいないのに、自分自身が情けなくて悔しくて愚かだったから飛び出した
また君の元に戻って胸を張って迎えにいくために

なのに、なんだこれ
何で俺は君を怒鳴りつけているんだ
君が一番大切なものに矛先を向けているんだ
俺が先に背を向け逃げ出し、盗み見るように君の背中を見遣った
ひどく小さくなったその背中をたまらなく抱きしめたいのに、手を伸ばしたいのに、もう何も届かない

2/9/2025, 10:46:18 PM