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お昼休みの教室。
七菜と麻美は、1つの机に向かい合って、弁当を食べている。
七菜が、周りを気にしながら小さな声で話しかけてきた。
「麻ちゃん、私、前田は宇宙人だと思う」
「は?だれ?前田って?」
「4組にいる背の高いメガネの男子」
「ああ‥なんとなくわかるかも‥で?なんで宇宙人なの?」
真剣な眼差しの七菜とは裏腹に、麻美は冷めていた。
七菜と麻美は、幼なじみで、七菜の思い込みが激しい性格を知っていたからだ。
「この前、下駄箱で見たとき、ペカーって、後光がさしてたの!前田の周りだけ空気が変わるし!声を聞くと、耳の中がザワザワするし!」
七菜が興奮しながら、まくし立てる。
「何それ、霊感?」
「霊感はない。‥と思うんだけど、目覚めちゃったのかな‥」
麻美は、悩みはじめる七菜を見て、ちょっと面白そうだと思った。
帰りに、前田を待ち伏せるすることにした。
宇宙人を見てみたかったわけじゃない。
七菜から男子の話を聞いたのが、はじめてだったからだ。


下校時間。
下駄箱のすぐ横に置いてあるベンチで、前田が来るのを七菜と一緒に待った。
「来た、来た、来た!」
七菜は麻美の腕を激しく引っ張った。
麻美には、誰が前田かわからない。
メガネ率が多すぎる。
麻美は、前を見ながら小声で聞いた。
「どれ?どれが前田?」
「青いスポーツバック!」
口元を隠しながら、七菜が興奮しながら答えた。
「ほら!なんか、こうフワフワっと空気違くない?!」
麻美は、何も感じない。
前田は普通だ。ちょっと背が高いくらい。見た目は、地味な方。イケメンでもない。
「わからん。どこらへ‥」
麻美は、言いかけて黙った。
七菜のキラキラした目が、前田を追っている。


帰り道。バス停でバスを待つ。
「もしかしたら、幽霊とか見えてきちゃったりするかな‥」
ブツブツ言う七菜を見て、麻美はニヤニヤが止まらない。
「私は、さっき、目がハートの人を見たよ」
「え!?何それ??いつ?!」
真剣な顔で聞き返す七菜を見て、麻美は吹き出して笑ってしまった。
「何?!何で笑うの??」
「‥ぶふっ‥大丈夫。幽霊は見えないと思う。‥星間結婚できるといいね」
「‥え?!どういうこと?!」
麻美は、困惑している七菜の肩に、手をポンと優しくのせた。

5/8/2026, 4:15:11 AM