題 夢見る心
「サンタクロースはいるんだよ!」
私がそう言うと、友達2人がプッと吹き出した。
「まーたミナが変なこと言い出した」
「ねー、いないって言ってるのにね」
二人の笑い顔を見ながら、私は重ねて言う。
「サンタクロースはいるよ、だって、いつもプレゼントいつもくれるもん」
「だーかーらー、それは違うんだって何度も言ったじゃん」
しつこい私の言葉にイライラしたようにサユミが言う。
「そうだよ、強情だな。中学生にもなって恥ずかしくない?」
タエがさゆみに同調する。
「恥ずかしくないよ、全然」
私は真っ直ぐな視線で2人を見つめる。
「もういいよ、行こう」
2人は行ってしまう。この話題になると、いつも喧嘩になっちゃうなぁ。
でも・・・。でも、そうなんだもの。
私には妖精が見えるんだもの、小さい頃から。
だから、サンタクロースだっているんじゃないかなと思ってる。
妖精は、そのへんをいつもうろうろしてて、羽根が生えてたり、動物みたいな可愛らしい姿のもいるし、赤い帽子被ってるのもいる。
小さい頃はそれを話してたらお母さんに叱られてたから、今は言わないけど、不思議な存在は確かに実在するんだ。
妖精たちとは話せない。見えるだけで特に干渉もしてこない。
確か、サンタクロースは、妖精に手伝ってもらってプレゼントを作ってもらってるんだったよね?
絵本で見たことがある。
それなら、いてもおかしくない。実際にこの目で見たことはないけど、私は信じてる。
でも、もう友達にもサンタはいるって言わないほうがいいのかも。
サンタクロースも、妖精も、他の人には見えないから、いないも同然のものなんだよね。
私には日常に溶け込んでいるけど、他の人には見ることが出来ない。
まるで夢の世界のようだ。
私はずっとこの夢の世界で過ごしていよう。
いや、過ごしていたい。
不思議で、どこか美しさの中に怖さもある妖精の世界。
この世界に私は魅了され続けているんだ。
4/16/2024, 1:27:52 PM