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「子猫」


梅雨時の大雨の日。
母が慌てて私の職場のお店に来た。

「どうしよう??この子拾ってしまった」
母の手には、まだ目も開いてない、掌に収まるサイズの子猫。

数日前から、裏の空き地で白猫を見かけてた。
お母さん猫と子猫2匹。
凄く警戒心が強くて、近寄らせてもくれず、ご飯もあげれない子だった。
そして、お腹が大きいな、とは思ってた。

そして、一昨日から白猫のお腹はペタンコになって、でも子猫が何処にいるのか分からなくて。
お母さん白猫もご飯食べてなくてガリガリなのに、無事に育てられるんだろうか、最初からいた子猫達は?

もう、心配しかなかった、そんな矢先に。

母曰く、「大雨なのにミャーミャー何だかずっと鳴いてるし、お母さん猫の姿も見えないし、気になって探しに行ったら隣の家の車庫の中に落ちてたから、思わず拾ってしまった。どうしよう?」

って、どうしようもこうしようも、拾ったからには責任を持って育てないと。

それからが大変だった。
まず健康診断。栄養状態が良くなくて、2時間おきのミルク。店長に頼んで、というか、許してくれないなら辞める、と半ば脅して、仕事中は店の休憩室に連れていき、2時間おきのミルク&排泄タイム。

他にも一緒に生まれた子もいるんだろうけど、一匹は隣の家の子が拾って、次の日に何処かに貰われていったらしい。他の子は探したけど見つけられなかった。
せめて、この子は何とか、って言う思いだけで、凄く寝不足になったけど、兎に角頑張った。

そして。こちらの頑張りに応えてくれるように、子猫も頑張ってくれて、何とか元気に育ってカリカリまで食べられる様になった。

そして、お母さん猫も又姿を見せるようになって、あれだけ警戒心が強かったのに、家で子猫にミルクをあげている姿を見てから、お母さん猫も2匹の子猫も、家には入らないけど、ご飯は食べてくれるようになった。

それからも色々あって、結局お母さん猫は何処かに行ってしまったけど、子猫2匹は何とか捕獲して、無事家の子になった。

あれから十年以上。色々あったけど、3匹で仲良く過ごして、虹の橋を渡るまで家に居てくれた。
後悔もいっぱいあるけど、もし、幸せで居てくれたなら、嬉しい。
今でも思い出すと泣けるけど、こんなに大切な存在に巡り会えた事、嬉しかった。

有難う。もし又生まれ変わったら、私が猫で君達が飼い主でもいいし、君達は又猫で又私が飼い主でももいいし、皆が猫でも人でもいい。
何でもいいから、又、巡り会いたい。


実話です。一番長生きしてくれた猫の名前は、ベタですが
シロでした。親バカだと思いますが、少し困り顔の超可愛い猫でした。

11/15/2024, 10:57:27 AM