大空
物語 大空と地上の関係
「地上の星」
風邪の中の昴
砂の中の銀河
みんな何処へ行った 見送られることもなく
草原のペガサス
街角のヴィーナス
みんな何処へ行った 見守られることもなく
地上にある星を誰も覚えていない
人は空ばかり見てる
つばめよ高い空から教えてよ 地上の星を
つばめよ地上の星は今 何処にあるのだろう
崖の上のジュピター
水底のシリウス
みんな何処へ行った 見守られることもなく
名立たるものを追って 輝くものを追って
人は氷ばかり掴む
つばめよ高い空から教えてよ 地上の星を
つばめよ地上の星は今 何処にあるのだろ
名立たるものを追って 輝くものを追って
人は氷ばかり掴む
風の中のすばる
砂の中の銀河
みんな何処へ行った 見送られることもなく
つばめよ高い空から教えてよ 地上の星を
つばめよ地上の星は今 何処にあるのだろう
詞 中島みゆき
輝く地上の星は大空からしかわからない
近くにいると、見失う地上の星
上ばかり見ていると足元の石にも、直ぐ近くにある輝けるものにも気付けないつう話。
或夜、月に住む月の息子ちゃんは、星と追っかけっこをしたりして遊んでいました。ある日月のお母様が、寂しそうにしているのを月の息子ちゃんは見つけました、お母様どうしちゃったのだろう、月の息子ちゃんは悲しくなって月に帰って来た、かぐや姫に相談しました。「お母様、最近ため息ばかりついて寂しそうなんだ、何故だろう、分かるかぐや姫」とかぐや姫に尋ねました、かぐや姫は少し俯いて「分かる気がするわ、お母様きっとひとりぼっちで、お寂しいのよ、私も地上から帰って来て、あの青い地球を見ているとお爺さまとお婆さまのことが思い出されて寂しいもの、だって見てご覧なさい青い地球は本当に綺麗よ、そこにいるとその美しさに気付けないもの、月も地上から見ると夜ごと姿を変えるその姿は魔物が宿るように妖しくて、本当はこんな裁く世の果てのようで寂しところだとは思わないもの、私も地上にいた頃は側にある、お爺さまやお婆さまや私を想ってくださる殿方の気持ちの純粋な輝きに気づかず、夜ごと姿を変える妖しい月に魅せられて毎日月を見上げて泣いていたもの、お母様もきっと今、青い地球に魅せられて、寂し独り身を嘆いてらっしゃるのよ、あなたあの青く美しい地上の星の欠片をお母様にひとつもって帰って来てあげなさいな、きっと慰めになるから」そうかぐや姫に言われた月のお坊ちゃま息子ちゃんは寂しい寂しい独り身の月のお母様に光る地上の星を贈るために、つばめに姿を変え地上に降りたのでした。
長い長い旅でした、青く美しい地上の星は地上に舞い降りるとその美しさを失いました。何故だろう?月の息子ちゃんは悩みながら飛んで行くのでした、見上げると大空の青は美しく澄み何故だか寂し気持ちが引き起こされました、もしかして、これが郷愁と言うものか?月の息子ちゃんは夕闇せまる大空にポツリと浮かぶお月様お母様を見上げました、「あんなにポツリと白く浮かんでらっしゃるから、きっと寂しくて夜ごと姿を、お変えになられるのだ、太陽よりも暗闇が似合って、煌めく夜空の小さな星よりも弱い、寂しがりやのお月様お母様は、なんて可哀想なのだろう」月の息子ちゃんは地上から大空にポツリと白く寂しく薄っぺらいお月様お母様を見上げて目に涙をいっぱいためて眠りにつくのでした。次の早朝つばめに姿を変えた月の息子ちゃんは、朝の光りの中に消えて行くお母様お月様を追いかけ大空たかく舞いました、もうこれ以上舞い上がれないかと思い、つばめ返しでひらりと地上に身を返した時、白く輝くお月様お母様が地上におられたのです。それに気づいた月の息子ちゃんは一直線にその白く輝くお月様お母様めがけ突き進みポチャンと月を写した水面に突っ込んだのでした。どれくらい潜ったのでしょうか、気づくとその地上の下の下の川底に輝く手鏡を見つけました、覗くとまだ小さな消え落ちそうなお月様お母様の姿が写っていて「なんて美しい」と月の息子ちゃんはその母なる白く薄っぺらい月が写る鏡を手にしていました、すると、つばめの姿から息子ちゃんの姿に戻ってしまった息子ちゃんが息絶えようとしているところでした、夜は明けお月様お母様は姿を隠し太陽が姿を現しました、一部始終を見ていた太陽は、母親思いの優しい月の息子ちゃんを憐れんで、月の息子ちゃんを掌に乗せ、大空たかく上げ月に返したのでした。
気がつくと、月の息子ちゃんは月の裁くの果てに寝ています、起き上がる月の息子ちゃんの手には地上から持ち帰った手鏡が握られていました。覗き込むと、自分の顔が写りその向こうの漆黒の闇の彼方に青く輝く美しい地球が写っていました。「やった!これでお母様お月様は寂しい月じゃなくなる、自分越しに青く輝く地球を見ることが出来て、月と地球のツーショットも見ることが出来る」月の息子ちゃんは、大喜びでその手鏡をお月様お母様に手渡しました。
お月様お母様は、今夜も孤独で寂しくて、その姿を変え友達沢山従えた夜の呪術会を独り身で独り何役もして4役くらいして(笑)いましたが、それを哀れんだ優しい息子ちゃんに地上から持ち帰った手鏡を渡されると涙を流して喜び手鏡に自分と地球を写しました。
自分の美しさは自分ではないものが教えてくれます。大空の美しさは地上が教え、地上の星は大空が教えてくれるように。
令和6年12月21日
心幸
12/21/2024, 2:35:43 PM