谷茶梟

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春爛漫
(宝石の国二次創作)
春が来た。貴方がいない春が。幾度となく巡り来る季節。花が咲き乱れ、虫たちが飛び交う。温い風が北へ抜ける。寝ぼけ眼で、生まれ変わった世界を見る。貴方が連れ去られてからの千年が、夢であったらいいのにと思う。
(お前はほんとにとろくせぇな)
貴方の声はまだ覚えている。乱暴な貴方が、繊細な言葉を紡ぐことに惹かれていた。ねぇブルーゾ、貴方はこの季節をなんと例える?春爛漫の景色の中に、貴方はなにを見いだすの?出来ることなら、この季節にもう一度だけでもいい、会いたい。
「あの日から春が嫌いなの」
私の声は春の陽射しの中に溶けた。

4/11/2023, 4:56:41 AM