今日はクリスマスの夜。
世界中の子供たちが、ずっと待ちわびた日。
サンタクロースは子供たちにプレゼントを届けるべく、トナカイを駆って世界中を飛び回っていました。
そして中盤に差し掛かったころ、とある子供の家にやってきました。
子供の名前はジョン。
年相応にやんちゃですが、近所でも評判のいい子です。
「ホッホッホッ。
ジョンよ、いい子にしていたかい?」
「もちろんだよ!」
「なら良かった。
じゃあ、プレゼントをあげよう!」
サンタはそう言うと、大きな袋の中からプレゼントを取り出しました。
ジョンがとても欲しかったもの、switch2です。
ゲームが大好きなジョンは、どうしても欲しかったものです。
まだ発売していませんが、ジョンのために特別に用意したプレゼントです。
「ほら、受け取りなさい」
「わーい」
ジョンはとても喜びました。
ジョンは喜びのあまり、サンタに抱き着きます。
「サンタさん、大好き!」
「ホッホッホッ。
喜んでくれて何よりじゃ」
「プレゼント、ありがとう。
……でもごめんね」
なんということでしょう。
どこに持っていたのか、ジョンの手にはハサミが握られていました。
そのハサミを、ジョンは笑顔のままサンタの首筋に突き刺そうとします。
しかしハサミは、サンタの首に届きません。
サンタが、いつの間にかハサミを奪い取っていたからです。
「まさか、止めれられるなんて!」
ジョンは驚きのあまり、サンタから体を離しました。
一方サンタはというと、殺されそうになったのに変わらず優しい笑顔です。
ジョンはサンタの様子に戦慄を覚えました。
「ホッホッホッ。
ジョンよ、残念じゃったの」
サンタは奪い取ったハサミを、近くの机に置きます。
その様子は、つい先ほど殺されそうになった事なんて、少しも感じさせませんでした。
「ジョンよ。
儂を襲ってプレゼントを奪おうとしたな?
欲しいのはPS5pro辺りかの?
しかし残念じゃったな。
こういった事は慣れっこなのじゃよ」
サンタは、おかしそうにポンポンと袋を叩きます。
しかしジョンは恐怖のあまりぶるぶると震えてました。
サンタにどんな仕返しをされるか分からなかったからです。
「ホッホッホッ。
ジョンよ、そう怖がるんじゃない。
儂は何もせんよ」
「でもアナタを殺そうとして……」
「ホッホッホッ。
慣れっこと言ったじゃろう?
この程度、トラブルのウチにも入らん」
そう言うと、サンタは大きな袋を担ぎました。
サンタは帰り支度を始めたのです
言葉通り、ジョンに危害を加えるつもりはないようです。
そんなサンタを見て、ジョンはモヤモヤした思いを抱えました。
仕返しがなくホッとしたもの確かです。
しかし、それ以上に言うべきがあるのではないかと思ったのです。
ジョンが悩んでいる間も、サンタは部屋から出て行こうとします。
「待って!」
ジョンはサンタを呼びとめます。
しかし何を言うべきか、まだ思いつきません。
それでも、このまま帰してはいけないという思いがジョンを突き動かしました。
その気持ちを汲んでか、サンタはなにも言いません。
そうして両者の間に沈黙が流れます。
一分ほど経ったでしょうか?
ジョンは悩み抜いた末、自分の気持ちを正直に言うことにしました。
「サンタさん」
「何かな?」
「プレゼントありがとう」
「うむ」
「でも乱暴しようとしてごめんね」
「ホッホッホッ。
気にしておらんぞ。
それに自分の間違いを認めて謝れるのはいい子じゃ。
来年もいい子でいるんじゃぞ」
ジョンは、サンタの言葉を聞いて笑顔になりました。
サンタも一緒に笑顔になります。
そしてサンタは、ジョンの頭を撫でながら言いました
「来年も良い子でいるんじゃぞ、ジョン。
メリークリスマス!」
12/9/2024, 1:35:21 PM