「宴だ宴ー!」
「……………」
とても騒がしい。祝いごとは城で何度参加したけど、こういう和風?みたいなのは初めて。宴会みたい。
社交パーティーとはやっぱり全然違う。少し苦手かもしれない。
少し遠くに目をやるとライトが知らない人達と楽しそうに踊っている。
(やっぱり久々の故郷だし、その国の人と過ごしたいわよね……)
正直人と喋るのは得意じゃないから、あそこの輪に入れる気がしない。
(……まあ、適当にご飯食べてればいいわよね)
そんなことを考えながら1番近くにあった魚料理を口に運ぶ。
「…………!美味しい…」
かなり美味しい。正直社交パーティーで食べた料理と遜色ないぐらい、いや、下手したらそれより美味しいかも。
「お口にあったなら幸いです」
「っ!」
横から声をかけられ驚く声の方向を向く。
そこには暗い深緑色の長髪の青年がいた。確か……
「アイラ……さん?」
「……俺は使用人なので、呼び捨てで構いません」
「そう……かしら?」
急に話しかけられ、何を話せばよいのか分からなくなる。
「あ………えっと……」
「!」
そんな私の様子に気づいたのか、アイラは私の少し前まで出てこちらに手を差し出す。
「良ければ、一緒に踊りませんか?楽しいですよ」
「え?でも、振りなんて……」
「大丈夫ですよ。決まった振りもルールもありませんから」
そう優しく微笑む彼の表情は、とても温かかった。
その表情がどこか彼女を思わせる。心が絆される。
まあ、少しくらいなら………
「じゃあ、踊ってくださる?」
踊ってみてもいいかもね。
ー踊りませんか?ー
ロコ・ローズ
10/4/2024, 11:37:08 AM