腹有詩書氣自華

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今朝、硝子の器に水を満たした。
 ふと、指を触れさせると、波紋が広がり、光を細かく砕いていく。
 透明なはずの水が、揺れるたびに形を変え、きらきらと輝くのが面白い。

 透明って、何だろう。
 見えないのに、確かにそこにあるもの。
 風も、水も、想いも、言葉にしなければ透明なままだけれど、ほんの少しでも形にすれば、こんなふうに光をまとって見えるのかもしれない。

 言葉にならない感情も、きっと同じだ。
 静かなままでは透明だけれど、誰かに触れた瞬間に揺らぎ、かたちを成し、いつか届くのかもしれない。

 だから、今日も筆を執る。
 透明なまま流れてしまわぬように、そっと言葉をすくい上げて。
──────題.透明──────

3/13/2025, 12:29:30 PM