名前

Open App

『涙』

涙とタイトルがついたものを見ると、悲しい物語なのかなと思ってしまう。

泣き笑い、嬉し泣きなど悲しい感情だけではない時にも涙は出るのに、何故かイメージは悲しいものだ。

昔読んだ漫画に泣いてる人は無条件に守られるべきだ、という大前提で話が続いて行くが、
最終的にはずっと泣いていて守られてきた人が悪人で、涙ひとつ見せず勇敢に反抗し続けていた不良とされた人が善人だった話を読んだ事がある。

うさぎが泣いていれば、側にいるライオンを理由も聞かず非難してしまう、そんな物語だった。

嘘泣きというものがあるんだと衝撃で、
涙ひとつとっても色んな感情があるんだと学んだ。

ひ弱な気高さ、強者の弱音とか
一見真逆の言葉が表裏一体になる場合もあると
知った時、見える景色が変わったような気がする。

自分は怒られれば怖くて泣いて、試合に負けて悔しくて泣いて、馬鹿話をしながら笑いすぎて泣いてきた。

少し思い返すだけで色々な涙を思い出すけれど、
一番記憶に残る涙は、父親と喧嘩してなかなか素直になれない思春期の自分に、昨日も拗ねて晩ご飯を食べてないから食べなさいと、買ってきてくれたマクドナルドを泣きながら食べた涙だ。

酷いこと言ってごめんと素直に言えない自分への悔し涙

お腹がペコペコの時に大好物を食べれる嬉し涙

年老いた父にはマクドナルドでメニューを選ぶのも簡単ではないのに、自分の為に選んでくれたヘンテコなメニューへの笑い涙

こんな自分を包んでくれてありがとうと感謝の涙

その涙が口にいっぱい入ってきながら食べたハンバーガーの味は、何十年たっても一番幸せな涙の味だ。



3/30/2025, 6:38:26 AM