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胸の鼓動…

どうやって知り合ったのか…部活の先輩の友達で紹介してもらったのか…出会い方を思い出せない3人組がいる。

当時そのグループのファンで、今のようにネットで配信など無かったからライブハウスに通って音源を録音したテープが売られていたのが、今も手元に持っている。

独特の音源と、問いかけるような不思議な歌詞と歌声と真っ白いオーガンジーの帽子とドレスをいつも着て、ステージで歌っていた。

そんな姿に憧れて、学校祭の最終日にステージパフォーマンスの枠を勝ち取り、その日までに友達二人と、作曲、歌詞、衣装などを分担して特訓した。

作曲は、ピアノが弾けた友達が…歌詞は私。
衣装は、それぞれが持っていた古着の上下真っ黒の衣装で真っ赤な口紅と真紅のバラを一本持って歌うことに…。

何度も、何度も練習して、いよいよ自分達の順番がもうすぐ…二人で震える手を握り合って無理に笑う。手が冷たい。
演奏は作曲した友達がピアノのみ…歌は、私が。

止まらない!どんどん加速していく胸の鼓動…
口から心臓が出そうとは、こういう感じか…

スポットライトが一筋
♪月は、今日もセルロイド…歌い始めて、もう歌い切るしか無い…落ち着いて、落ち着いて、ゆっくり、ゆっくり…

二人でステージに並んで立ち、バラを片手にお辞儀する。

暗いステージ下の人々の頭がうっすら見える状態で、猛烈な拍手を貰う。
もう一度、礼。

舞台から降りて、舞台裏へ小走り…お互い抱きしめ合う…緊張したね〜やぁ〜楽しかったね〜と大興奮。
あんな、若く弾けて無謀にも、憧れだけで真似をした先輩達のようにステージでスポットライトなんて浴びて歌うなんて! 今、思い出しても本当に楽しかったな。

まだ手元にある先輩達のカセットを時々、デッキで聞く…その時に一緒に、あの学校祭で歌ったメロディも歌ったりして…

忘れられないあの胸の鼓動は懐かしさとともに、大事にしていこう。


*読んで下さり ありがとうございます*

9/8/2023, 11:03:22 AM