雨音

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『朝日の温もり』  No.82


──はっー。
広がった視界、いつもの天井。…もう、朝か。
まだ薄暗い部屋の中、私はもぞっと腰を上げ、ベッド上の目覚まし時計に目を傾ける。

4──12. 4時12分だ。
あわよくば二度寝を…とは思ったものの、目はぱちくり開いていたので諦め、カーテンを開けてしまうことにした。朝とはいい、静まり返った辺りがちょっぴり怖くて、そばに置いたぬいぐるみを胸に抱いた。それから、冬の寒さで底まで冷え切った床をひたひたと進んだ。窓へ近付くその一歩が、部屋に少しずつ光を寄せていた。

サアッ。金のひかりが、さっきまでとは見違えるように部屋に一筋伸びる。広がる。冷えた床が暖かくなったようにも感じられる。

試しに覗いた小窓にも、光が差していた。

お隣さんも、向こうの方のパン屋さんも、みんなが外に出たり、窓を開けて朝日を見つめる。海の上で「おはよう」と微笑む朝日がまばゆい。


おはよう、私の朝

6/9/2023, 10:19:35 AM