つい数日前までは夏の暑さを感じていた。
ようやく秋の風を感じていたと思っていたんだけれどな……。
「寒いー!!」
恋人が空気の入れ替えのために窓を開けると、あまりの外気の寒さにピシャリと扉を閉めて叫んでいた。
「秋、どこ行っんでしょうか……」
しょんぼりした表情は、動物だったら耳がぺしょりとタレ落ちたみたい。
「過ごしやすい季節だからねぇ」
俺は彼女の手を取って指を絡める。彼女は驚きつつ俺を見つめてくれた。
「こうやって手を繋いでも暑くないからね」
少し目を丸くするけれど、満面の笑みを向けてくれる。
「そうですね!」
きゅっと俺の手を握り返してくれた。
おわり
五二四、秋風
10/22/2025, 2:17:06 PM