『 いつまでも捨てられないもの』
ごみ箱の前に持っていってわ迷う。
父の手紙。
父は私には興味がなく、いつも放っとかれていた。
話なんて続く訳もなく、家がいつの間にか落ち着かない場所になっていた。
父の言葉なんて一言も信じたことがない。
そんな人が亡くなる前に残した手紙。
ほんとうはこの世でいちばん愛している。
こんな父ですまなかった。
涙の染みた跡とともに書かれていた。
絶対うそだ。
綺麗事を言うんじゃない。
そう思い、ごみ箱の前に立つ。
でも、母がいない私。
どこにも信じられるものがなく、1人孤独に生きてきた。
心の底で、この言葉に縋りたいと思う私がいたんだ。
決心なんて言葉がないように、いつまでも捨てられない。
死ぬまでダメなんだ。
8/17/2024, 1:12:55 PM