でぃぐだぁ

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「タイムマシーン」

もし、会いたい人に会えるタイムマシーンがあったなら。

同じ時を呼吸し、明日の行方に一喜一憂する。そんな「今」を生きる人たちが、時折ひどく眩しく見える。私の心は今、ここにない。八十年という歳月の彼方に、ぽつんと置き去りにされているのだ。
その人の名を思うたび、喉の奥がわずかに詰まり、胸が内側から締め付けられる。けれど私は知っている。その人がどんな道を歩み、どこで生涯を終えたのかを。すでに閉じられた結末をなぞるだけの追慕に、未来への期待は最初から存在しない。私は、彼の生きた声を知らない。言葉を選ぶときの沈黙も、眼差しが揺れる瞬間も知らない。ただ、記録と想像の中で、その人を想うしかない。
もし一度きりでも、同じ空気を吸うことができたなら。
同じ時代の重さを、同じ温度で感じることができたなら。
私は、今よりもずっと、自分の「生」を愛せたかもしれない。

1/22/2026, 1:57:00 PM