毎朝五時に私の家の前を通るあなたは、一体どこに向かうのでしょうか。
私は朝起きて、二階の書斎の窓から外の景色を眺め、珈琲を飲むのがルーティーンなのです。
外の景色と言っても、見えるのは薄暗い空と、ろくに車が通っていない道路と、犬の散歩をしている人間ぐらいで、大した面白みはないのですが。
代わり映えの無い日常の中、唯一毛色が違うのは、あなたでした。
仕事に向かう様子でもなく、犬を連れている訳でもなく、ただ毎日毎朝同じ時間に、一分たりとも時間のずれなど無しに、私の家の前を横切るのです。
おかげで、あなたの歩く姿を見かければ、時計など見なくても五時の訪れを知ることができるのです。
『時を告げる』
9/7/2024, 6:59:24 AM