宮平和実

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「終わりにしよう」

「もうこの人生、終わりにしよう」
 私は独り言を呟いた。
 仕事も趣味も全くうまくいかない。もう嫌だ。やめたい。
 私は、ふと思い立ち、外に出た。外は、快晴だった。
「眩しいな」
 外をふらふら歩いた。
 外に出てから、少したった頃だろうか。
 大学の頃から友達の女性に、声をかけられた。
「やぁ!久しぶり。なんだかこの世の終わりのような目をしているけど」
「ああ。もう疲れた」
「そう。もう終わりにしようと思うんだ?」
「うん」
「じゃあ、一緒に、この人生を終えて、違う世界へ行こうよ」
「えっ?」
 友達は私の手を引っ張り、どんどん歩いていく。
 歩いていると、眩しい光につつまれた。
 着いた先は、真っ白な空間。
 真っ白な空間だと思ったら、色とりどりの花畑だった。
「ここは?」
 私は首をかしげた。
「天国だよ。天国への入口!」
「君は?何者?」
「言っていなかったけれど、天使だよ!」
「天使?」
「そう」
「さっそく聞くけど、君は人生を終わりにしたい?」
 天使が私に聞いた。
「うん」
「いまなら、元の世界へ戻れるけど」
「いいや、元の世界は戻りたくない」
「そう」
「おめでとうございます!あなたは、天使として転生する事になりました!」
「え?」

 人生を終わりにしたいと思った私の人生が、またはじまった。




7/15/2024, 12:56:07 PM