むらたま

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あの夏、私は入院していた。
同級生が受験勉強をしている間、ずっと病室の窓から外を見ていた。
私はいったいどうなるんだろう。
そんな事を考えても何かが変わるわけではないのに。
お見舞いに来てくれた友人の姉にこどもができて、私は叔母さんになるんだ、と言っていた。
私はこどもを持つことはないだろう。
誰かに愛してもらうことも無理かもしれない。
本当に絶望すると人は涙など出なくなるものだ。
病院の空調だけが鳴り続けている。
これからどんな夏が来てもあの夏ほど空っぽな夏はないはずだ。

6/28/2024, 10:06:45 AM