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【手放した時間】

昼下がりの川べりで、2人は相変わらずどうでもいい話をしながらゲラゲラ笑っていた。
仕事のことも、将来の不安も、面倒くさい義理も、気づけばどこかへ消えていく。
こいつといるといつもそうだ。
肩に背負っていたはずのあれこれをぽいっと放り投げてしまいたくなる。

冗談を言えばすぐさま突っ込まれて、また笑いがこぼれる。
バカみたいなやり取りなのに、その瞬間だけは世界の全部が軽くなる。

ふと風が吹いて川面が揺れた。
そのきらめきを眺めながら思う。
大事なものを増やすのが大人になるってことだと思っていたけれど、ほんとは違うのかもしれない。
こうして余計な力を抜いて、手放して、ただ一緒に笑える時間こそが、本当に必要なものなんじゃないかと。

夕陽に染まる道を並んで歩く。
背中は相変わらず丸めたままくだらない話をする。その無防備さがなんだか心地いい。

こいつといれば全部を手放してもいい気がする。
そしてきっとこれからも何度だって——こいつとならそうなる気がしていた。

11/24/2025, 5:48:00 AM