「はーい、しつもーん!」
金髪の少女は、椅子を凄い角度に積み上げながら言った。
「明日にはこの、なんだっけ?まぁほら、これ!この世界は消えるけど、何かお願い事とかある?」
少女は小さな箱を指さして言った。この世界は、知ってる。キミの世界だ。綺麗で、霧がかかっていて、よく見ると怨みと、愛と、嘘に塗れてる。
「君も消えるの?これがなくなったら」
「いやぁ?僕はへーき!黒いボクは消えてなくなるけどねぇ」
少女は、椅子を積み上げていた手を止めた。
「何か願ってくれる?」
少し悲しそうにそう言う。
「キミの為に何か願わせてくれるの?」
「ま、そゆこと!ボクのために願ってあげてね」
「じゃ、キミを、キミの世界を消すな。」
少女はへぇ、と言うと楽しそうに椅子を積み上げだす。
意外性のない、答えだね。静かに彼女は言った。その声はどこか嬉しそうだった。
「叶えてくれない?」
「いーや。叶えるよ?ただ、あまりにも意外性のない答えだったから、ね」
そう言うと、少女は箱に『消しちゃ駄目なヤツ!』と書いた。
はい!これで願いは叶いましたー!。
世界はこんなにもあっさりと、消える、消えないが決まってしまうんだと、私は初めて知った。
5/6/2023, 3:09:42 PM