書きたいように書く人

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私が初めて見たものは、普通の世界であった。私はその世界で15年過ごしてきた。しかし、私には、分からないものがあった。それは「色」というものだ。母や父は赤色や青色、黄色など、様々な「色」が見えるらしい。世間はこれが普通の世界なのだそうだ。私とは違う世界。しかし、見たことも無いものを、私は想像することができなかった。いや、できるはずないだろう。色そのものが何かすら分からないのに。
そこで、私は絵を描く少女に出会った。私のいる学校に転校してきたのだ。その子の絵は、ものすごくよかった。物の形は曖昧である絵だった。例えば本ならば、本と認識はできるが、普通の本では無い、独特な表現であった。その絵を描くところを見ていると、少女は、「最後に色をつけるの。」と言った。私には色が理解できないので、筆を動かす少女をただ見ているだけであった。
いつか、色を見れるようになるのなら、私は彼女の色のついた絵を、1番最初に見たい。
そして、その時、私は1番初めに何を思うだろうか。

#無色の世界

4/18/2024, 1:12:02 PM