【秘密の標本】
放課後のグラウンド裏。
フェンスの影に腰を下ろして、2人はノートを開いていた。
ページの隅には、くだらない落書きや謎のランキング、誰にも言えない秘密のネタがびっしり。
「これ、ほんまに残すん?」
「当たり前やろ。俺らの黒歴史アルバムやぞ。」
「黒すぎて、見てられるもんじゃないわ。」
砂ぼこりの舞う風の中、2人は笑い転げながら最後のページを書き終える。
1人がペットボトルのキャップをスコップ代わりにして、地面を掘り始めた。
「おい、埋めるんかよ。」
「そう。“タイムカプセルごっこ”」
「ごっこって……誰が掘り出すねん。」
「俺らを忘れた頃、多分まだバカやってる俺ら。」
ノートを袋に入れ、慎重に土をかぶせる。
少しズレた靴跡が二つ並んで、夕焼けに伸びていった。
「これ、見つけれた奴、運ええな。」
「俺らは見つけられへん想定やめてね。」
その言葉で、また笑いが弾ける。
ふたりの笑い声は、グラウンドのざわめきに溶けて消えた。
明日もきっと同じ場所で、くだらない話をしてる――そんな気がした。
11/2/2025, 10:37:16 AM