紺屋小町

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ススキの記憶をを辿っていたら
断片的な記憶の中にススキ野原のような景色が浮かんだ。

昔、見た景色。となりには亡夫がいた。
あの場所はどこだった?

たしか、奈良のどこかにある高原だ。
検索をかける。奈良、高原、ススキ。

曽爾高原。

すっかり忘れていたことを思い出した。
夫と一緒にススキを見に行ったのだ。
どうして忘れていたのだろう。けれど、思い出せたことが嬉しかった。
わたしにはもう夫との新しい思い出を作ることができないから、忘れていたことで新しい思い出が増えたような気持ちになった。

風に揺れるススキが夫とわたしの思い出を呼び覚ましてくれた。

11/10/2022, 10:16:09 PM