メレメレはどうかな

Open App

真夜中

アラームを止めてゆっくりと起き上がった。時計は深夜2時を示している。今日はいけると思った。折りたたみ式の踏み台に手を伸ばした。

外に出てみた。
風が冷たくて自然と体が震えた。体が冷えてしまった。だが、私はもう何も心配しなくていいことを知っている。

階段を手すりにつかまりながら這うように登った。
その最中、後ろに人がいる気がして何度も振り返ってしまった。いつもなら怖くなって諦めてしまうのだが、今日は大丈夫だった。

屋上に来た。
この世界で地獄に1番近い場所だ。この瞬間が来ることを何度も願っていたはずなのに、足の震えが止まらない。手すりをつかんでないと立っていられない。心と体が矛盾していて気持ち悪い。けれど、大丈夫。大丈夫だ。私は自分を奮い立たせ、踏み台を使って必死に向こう側へ行った。
あんなに冷たくて嫌だった風が、今ならとても心地よい。今なら飛べそうな気さえしてくる。

最後にお腹を優しく撫でてみた。
緩やかな胎動を感じながら私はもう一歩前へ踏み出して…………

5/17/2024, 2:14:16 PM