波にさらわれた手紙文字を書くことには慣れていない。昨今、ペンを握る機会は減っていき、文字を打つことばかりになっていた。なんだか見慣れない自分の文字が波打っているように見えて、これならば普段から文字を書く習慣をつけておくべきだったなと思ってしまった。淡い青色の便箋は、夏の空が好きだったあなたを思い浮かべて選んだ。開かれることがないだろう封筒にシーリングスタンプを模したシールを貼り付けて、もう目を開けることはないあなたのそばに置いた。
8/2/2025, 7:45:15 PM