Rutu

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私が手にした勿忘草。一体、誰に贈れと言うの?

先輩の卒業が刻一刻と迫っている。私は受験も終わっていない先輩には今は何も出来ない。私の勝手な片想いで先輩の受験を邪魔したくないから。
無口なくせに友達とは楽しそうに話して…先輩達と話して私が笑うとまたツッコミを入れたり…私には幸せすぎる時間だった。でも
「お疲れ様です」

「お疲れ様です」

と小さく返す先輩後輩のやり取りが私は1番好きだった。いつも追いかけてばかりなのに、同じ場所で私にだけ返してくれる言葉だから。些細な事でも…一緒に居られることが私の1番の幸せだった。誰に何を言われようが気にしなかった。先輩がいたから記録が伸びた。…あぁ、そうだ。私が最後に先輩に贈るのは勿忘草なのかもしれない。
ーDo not forget meー

「へぇ、そうだったの。大変だね」
私が笑いながら一緒に帰っているのは隣のクラスの男子である。仮にT君とでもしておこう。うるさいけど、結構良い奴で私は話してて楽しかった。これで今日も平和に終わるだろう…そこにニョキっと現れたのは幼馴染くんだった。

「うわぁ!?」

なんでこんな時まで一緒になるの!?少し後ろにいて同じペースで歩いていたはずなのに。幼馴染くんは私とT君の間に入った。そして、私の居場所を奪うかのようにT君と話し始めたのだ。…いじわる。T君と別れると幼馴染くんは急に無口になった。私が何を言っても反応無し。

「君のこと好きな女子、教えてあげようか?」

気づいた時にはそう口走っていた。でももう手遅れ。彼の目は期待に満ちている。

「誰にも言わないでよ!?君は裏切らないよね?」

「それはどうかなー?気分次第」

ニヤニヤする彼にムカつきながらも言ってしまったものは仕方がないと思い、

「1組の…k…k…クソッ!言えない」

ここで言って裏切ったら私にはもう命がない。

「無理して言わなくてもいいよ」

「じゃあさ、代わりに1つお話してあげる。ある女の子がいました。その子には好きな人と幼馴染がいました。平和だったのに…幼馴染に何かが傾くんだよね」

幼馴染くんの優しさで自然と言葉が紡がれた。幼馴染くんは鈍いから気づかない。それなのに、幼馴染くんは気づいたような素振りを見せていた。漫画の話だけどね。でも、きっと彼は気づいてしまった。私の複雑な心境は誰にも覗けないのに…
私が幼馴染くんに勿忘草を渡すならきっと意味は…

2/2/2023, 12:12:35 PM