とある恋人たちの日常。

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 夏はキューピッド達が、日々仕事に追われる季節。一夜の恋から、本当の恋に発展することもある時期なのだが、日々育んでいる恋もある。
 
 一人のキューピッドは、以前、神様が偶然に依頼をして、出会った男女を見ていた。
 それは救急隊の青年と、不器用な女性。
 
 二人とも異性に好意を持たれるタイプだけれど、本当に求めるものはお互いなのを知っていた。
 
 偶然に背中を押してもらったけれど、さらに踏みだすものが欲しい。
 
 そう思ったキューピッドは、自分の持つ弓に手をかける。

 すると、キューピッドが居たところに影が落ち、神様がキューピッドの目の前に降り立った。
 
「あの二人に手出しは無用だよ」
 
 神様は茶目っ気たっぷりにウィンクをしてキューピッドの手を止める。
 
「ほら、ごらん」
 
 神様がその美しい手でキューピッドの視線を二人に導く。
 
 彼女は不器用ながらに青年の車を直しつつ、当たり前に のように彼を尊重している。
 彼はその様子に驚きつつ、心に明かりが灯っているのが見えた。
 
 青年は彼女に、「遊びに行こう」と声をかけると、今度は彼女の心に明かりが灯って、薄かった糸が少しずつ濃くなっていく。
 
「ね、君が手を貸す必要は無いよ。他の恋の背中を押してあげておくれ」
 
 キューピッドはひとつうなづくと、神様に一礼をしてから飛び立った。
 
「あの二人は大丈夫だから」
 
 
 
おわり
 
 
 
お題:神様が舞い降りてきて、こう言った

7/27/2024, 12:54:05 PM