普段とは別のところでロードワークしようぜ!
特にこだわりのない俺はその提案に二つ返事で了承した
訪れた場所は野花が群生しているのどかな公園で、舗装された道も広く走りやすい良いところだった
スプリントと休憩を交互に行い、そろそろ終わるかという言葉が途切れたので顔を向ける
公園の方を凝視しているようで、その視線を追ってみるとそこには、開花時期を迎えたマーガレットで花占いをしているっぽい子供たちがいた
「花占いってイングランドでもやってるんだね」
「だな。世界共通の文化って面白いよなー!起源はフランスっていう説が濃厚らしいけど」
そんな釘付けになるものではなさそうなのに、子供たちが花びらの枚数に一喜一憂している様子を目を細めて見守っている
何が彼をそうさせるのかと思案し、あるキーワードが口滑る
「歯ブラシ占い…」
バッと勢いよくこちらを向いた彼は羞恥からか顔を赤くした
「おっ、まえなぁ!人の黒歴史をほじくり返すなよ!」
「えー、俺別に黒歴史なんて思ってないよ」
「そりゃお前の黒歴史じゃねえからな」
彼にとってはセンシティブな事らしく、そっぽを向きポコポコとご立腹のご様子だ
暗に関係ないと言われたことは面白くない
俺のことで悩んでたくせに
そんなこと言っても彼の機嫌を損ねるだけなので、意識的に甘く、柔らかく声を発した
「ごめんね。許してくれる?俺、ちゃんと好きだよ」
こてんと小首を傾げる仕草もつけて見つめる
この顔に弱いことは分かっていたし、なんだかんだ俺に甘いのでしょうがねえなー!と許してくると思ってた
だけど今日はあと一歩届かなかったのか、最後の抵抗なのか顔だけ振り向いて彼は呟くように言った
「…花にでも聞くわ」
お前のそういうめんどくさいところが好きで嫌いで、やっぱり好き
6/14/2023, 8:31:23 AM