『好き、嫌い、』
上靴を捨ててやった。
勉強道具を捨ててやった。
やたら金持ちだったので、財布を持って来るたびに中身を抜いてから、捨ててやった。
暴力はバレるので、自分でアザをつくり殴られた”ふり”をしてやった。
職員室で彼女は必死に否定したが、私のアザまでは否定できない。その晩、彼女は親を連れてきて、私の家まで謝りに来た。
そんなことを毎日し続けた。
いつしか彼女には誰も寄りつかず、教員も庇うことをしなくなった。
聞けば、家族との関係も悪くなったという。
いくらなんでもやりすぎだって?
そんなことはないだろう。
ある日、彼女は顔に大きなアザを作って登校する。親に殴られたのだろう、いい気味だ。
これを機に私たちは彼女を毎日殴れるようになった。
アザが増えても、親のせいにできる。
彼女の親も何も言ってこない。
傷だらけで、ふらふらと抜け殻のように歩く姿を見て、私は彼女に『死体』と名前をつけてあげた。
みんな気に入ってくれたようだ。
「なんで生きてるの?」
って、みんなから言われるのを見ていると、とても愉快な気持ちになる。
「どうして、こんなひどいことをするの」
ある時、彼女は私の席に来てそう言う。
声色は少し強かったが、目は死んでいた。
「きもいから話しかけないで」
「教えて」
「は?」
生意気な態度を取られたから、その日はみんなで彼女を殴り続けた。
好き、嫌い、そんな理由じゃない。
始まりは、ちょっとだけ気に食わなかっただけ。
敵を作らないと、味方は作れないんだよ。
________みんなだって、そうでしょう??
私は席に戻る。
いつものように、何事もなかったかのように。
6/20/2025, 3:08:35 PM