この想いはまだ秘密。
いつの日にか、あなたに伝える日まで。
熱気が漲る体育館、入り口からこっそり中を覗いた。
中では胴着に身を包んだ剣道部部員が稽古に励んでおり、
その熱心な姿に尊敬の念を感じる。
稽古を眺めながら、彼を見つけた。
隣のクラスの想い人。
垂に書かれた名前を確認し、一人頷く。
真摯に剣道に向き合う姿が好きで、こうして練習を見学
させてもらうたび更に惹かれる。
一種の憧憬は姿を変え恋慕になった。
私自身伝える勇気はなく、彼も気づいていない。
「また稽古見に来てたのか?」
「うん。稽古中の姿、格好良くて見とれちゃう」
「ふーん……他の奴にもそういう事言ってんの?」
「え?」
「いや、なんでもない」
今のは、聞き違いだろうか。
明らかに第三者を意識していた。
まるで嫉妬するかのように。
好意があると自惚れてもいいのだろうか。
9/3/2025, 1:54:45 PM