「君は恋したい?愛したい?」
これは、愛に恋した僕と恋を愛した君の話だ。
「恋と愛の違いって何だと思う?」
もう高校三年生なのに、彼女はまだ少女のような事を言っていた。
「恋とは、愛情を寄せる事。愛とは、大事なものとして慕う事。」
僕は辞書をめくりながら、そう答えた。しかし、彼女は僕の回答が気に食わないようだった。
「そういうのじゃなくて!気持ち面の話だよ!」
本当に少女だ。気持ちなんて目に見えないものに夢焦がれているのだろうか。
「じゃあさ。君は恋したい?愛したい?」
「どちらかなら、恋したいかな。君は?」
「私は愛したいなぁ。だって、愛情を寄せるよりも、慕う方がロマンチックだもん。」
彼女は笑った。それだけで僕の心は掻き乱される。
「…君は愛みたいだね。皆を慕って、皆から慕われて。」
「何それ。じゃあ君は、恋だね。好きな事だけに愛情を注いでさ。」
悪戯っぽく言う彼女。だから僕もからかうように言ってやったんだ。
「君に恋をしたって言ったら、〝こっちに恋〟って言ったら、どうする?」
「私が愛した君のままで〝愛にきて〟、って言うよ。」
あぁ、本当に僕は君が好きなんだね。
これは、愛に恋した僕と恋を愛した君が恋愛をする話だ。
4/25/2025, 2:52:58 PM