Frieden

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「ジャングルジム」

アーカイブの名前を呼ぶ?名前を呼んだということはきょうだいの名前を知っているというわけでそのつまり、えーと……?
「……!ねーえー!!きいてよー!!」

「何さ!キミが変なこと言うせいで眠れなかったというのに!」
「あしょびたい!こーえん?てとこであしょぶのー!」
「気持ちは山々だがこんなお昼に行くのは難しいと思うよ?」

「なんせここはニンゲンの町!ボク達が人目に触れるのは相当なリスクを生じるんだ。不便だけど我慢我慢、だよ?」
「むー!やー!!」

「それなら早朝に行ったらいいんじゃないか?」
「それはキミが大変なんじゃないの?ニンゲンくん?」
「まあそれはそうだけど、せっかく遊びたいんならさ。」

「そーちょ?」「早朝。朝早くっていう意味だよ。」「ん!」
「じゃ、そーちょにいくー!」

……というわけでボク達は朝っぱらから公園に行くことになった。ボクとニンゲンくんはともかく、このちっちゃな兄は起きられるのだろうか……。

-翌日朝5時-

「おはよます!」「起きられて偉いなー。」「えらいー!」
「あー……ちょっと待って!朝ごはんを作っているんだ!公園で食べようと思ってね!」

「よし、完成!それじゃあ行こうか!」

……全く、朝から元気で子どもらしいな。
朝ごはんまで食うのかよ。
まあ、気分転換になるからいいか。

まだ薄暗い中外に出る。随分と涼しいな。
そして、薄紫の朝焼けが綺麗だ。

「足元に気をつけるんだよ、みんな!」「はーい!」
ちょ、自称2歳児!走ったら危ないだろ!
そんでもって走るのも早いし……。

「だれもいなーい!みちもこーえんもあしょべるのー!」
「こんな所で遊んだら危ないからダメだぞ。……ってニンゲンくんが思っているよ。だからやめておこうね?」「えー?」

「あ、あれ!こーえん?」「そうだよ!あれが公園だ!」
あー、ここは前来た時に弟の方が遊具から落ちた公園だ。

「あれ!あのあみあみ!のぼるのー!」
「あれはジャングルジムと言ってだね……キミにはまだ早いと思うよ?」「やーやー!」「うーむ……困ったなあ。」

そういえば、家に置けるサイズの子ども用ジャングルジムが玩具屋に売ってたと思う。「なるほど!そいつを亜空間に置けば完璧じゃないか!」「んー?」

「キミでも登れるジャングルジムが家に置けるんだって!」
「ニンゲンしゃん、ほんとー?!」「あ、まあ……。」
嬉しそうに足にくっついてくる。

「さて、そろそろご飯にしようか!そのあとできょうだい用の良いジャングルジムを探そう!」「はーい!」

……かわいい兄弟だな。機械なのが未だに信じられない。
甘えん坊な兄と、元気で利発な弟。
ほんの少しだけ、羨ましい。

「あ!ニンゲンしゃんにこにこなのー!」「えっ」
「さんどいちー、おいちいね!」「ああ、美味しいよ。」

「ボクのおとーと、すごいねー!」「いろんなこといぱーいできて、かわいいの!」「でちょー?ニンゲンしゃん?」「あ、あぁ。」「へへへ……!それほどでもあるよ〜!」

時間の許す限り、こんな日常をもっと過ごしたい。

そう思うのは強欲だろうか。

自分は昇る朝日に問うた。

「前回までのあらすじ」───────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!

それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにしたら、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかったのだ!!!

そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!!!

……とりあえずなんとかなったが!!!ちょっと色々と大ダメージを喰らったよ!!!まず!!!ボクの右腕が吹き飛んだ!!!それはいいんだが!!!ニンゲンくんに怪我を負わせてしまったうえ!!!きょうだいは「倫理」を忘れてしまっていることからかなりのデータが削除されていることもわかった!!!

それから……ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。いつかこの日が来るとわかっていたし、その覚悟もできたつもりでいたよ。でも、その時にようやく分かった。キミにボクを気味悪がるような、拒絶するような、そんな目で見られたら、覚悟なんて全然できていなかったんだ、ってね。

もうキミに会えるのは、きょうだいが犯した罪の裁判の時が最後かもしれないね。この機械の体じゃ、機械の心じゃ、キミはもうボクを信じてくれないような気がして。

どれだけキミを、キミの星を、キミの宇宙を大切に思ったところで、もうこの思いは届かない。でも、いいんだ。ボクは誰にどう思われようと、すべきこととしたいことをするだけ。ただそれだけさ。

……ついに裁判の時を迎え、ボク達はなんとか勝利を収めた!

それから。
ボク達はニンゲンくんに、そばにいていいって言って貰えたよ!

とまあ、改めて日常を送ることになったボク達だが、きょうだいが何やら気になることを言い出したよ?……心霊現象かな???

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9/24/2024, 9:41:45 AM