谷折ジュゴン

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創作 「たとえ間違いだったとしても」

親愛なるボクの友人へ

聞いてくれ、ボクの研究がようやく王に認められたのだよ!

どうやら今の今までボクが卑屈になっていただけのようだ。だが、多くの魔法使いたちを不安に陥らせたのは事実だ。これからも気を引き締めて、研究を理解してもらえるように説明していくよ。

今までキミには多大な苦労させてしまったね。
たとえボクの研究が間違いだったとしても、キミはボクたちを信じてくれていた。「うで」が安全なものだと、ボクと一緒に王へ進言してもくれた。

キミには感謝してもしきれないよ。本当にありがとう。

───・───より

額に入れられ壁に掛けられた科学者の手紙を、ヒトの腕の形をした人工知能は眺める。彼が老衰で亡くなるまで人工知能に見せなかった手紙は、およそ千通を越えていた。

ちなみに 何百年も前に魔法は途絶え、その後すぐに王の都は滅びた。そして、一人の科学者が遺した文章執筆用人工知能「うで」は彼の親類の子孫が引き取り、科学者の博物館の案内人として、現在も活躍中である。
(終)

4/22/2024, 12:45:01 PM