私が住んでいる町は、
高台ならどこでも海が見える。
中でも、3階の音楽室の窓から見える、
たった数センチの海が一番好きでした。
中高と吹奏楽部に入っていたのは、
そこから海を見るためでもありました。
海を見ながら練習したり、
仲のいい部員とサボってぼーっと眺めたり、
戸締りの時には海風を感じたり…
「おくのほそ道」の授業をしていた頃、
それに感化されて海へ行くことがありました。
両親が仕事で遅くなる日。
家の門限を破って、自転車で夜の海へ。
超特急の弾丸旅行です。
でも、何かが違う。
音楽室の海ほど好きになれない……
きっと、「安心感」がなかったからでしょう。
あの音楽室には、部員である仲間と、
海に飲み込まれない距離がありましたから。
恐怖心にうち勝てば、
いつか直接見る海も好きになれるでしょうか。
9/25/2022, 12:28:18 PM