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私は初めっから…ないものねだり

「これは?」

ー欲しくないー

「あれは?」

ーいらないー

「なんでみんなと同じように欲しがらないの?」

ー家は貧乏だから欲しいと言ったら怒られるー

「普通じゃないんだね笑」

ーいいんだよ、私は変わり者でー

私が初めて命をかけてまで欲しいと願ったものは先輩だった。笑顔の先輩。走る先輩。ありがとうと呟く先輩。欲しくなって関わる度に増すないものねだり。いつしか欲しいのは先輩。先輩の…何?先輩の…先輩の……愛。辿り着いたのは愛。先輩からの愛だった。…欲しい。でも関わる度にわかっていった。私に対しての先輩からの愛は1ミリも無いって事。私のないものねだりは私自身を不幸にする。私がねだった愛は知りもしない誰かに注がれ、私は望まない涙を流す。私の唯一のないものねだり。

幼馴染くんの声が聞こえた。それは笑い声。女子の声も聞こえる。私には見せようともしない笑顔をそうやって簡単に見せる。君の想い人になる人はさぞかし誤解するだろうに。君は私の元に来ると急に無口になる。話す話題がないなら帰るよ、と。君が勝手に来ていただけなのに、話題がないのもまた私のせい。君といると頭を抱えてばかりだな、私は。それでも私が無口になる時はそばで君が話をしてくれる。お前の点数が低いんだったら俺はどうなるんだよ。君の言葉にも声にも私は安心してしまうのだな。私たち、ずっとこのままでいられないのかな。君の声をそばでずっと聞いていたい。それは…ないものねだりになってしまうのだろうか。

「なんでみんなと違うものを欲しがるの?」

ー欲しがっているのには変わりない。ただそれが
手に届かないだけー

「小さい頃からずっと欲しがりもしなかったくせに」

ーいいんだ。私はずっと変わり者でいいんだー

3/26/2023, 12:01:38 PM