「朝日の温もり」
朝は目を覚ましてベットから起き上がる。その動作は体に染み付いていて、意識しなくとも自然とそうなる。
自室は、窓はなく机と椅子とベットだけというシンプルなものだった。見慣れている光景だから、別にどうと言う感情も湧かない。
当たり前の動作と考えを終えて、椅子に座る。自分の太腿の上に置いた自分の手を見つめながら、今日は何をしようかと考える。これも自分にとって当たり前の動作であり、やはり自然とそうなるのだ。そして、次にやはり自分はおかしいのだと思う。
これは夢だと思うと、次の瞬間にはいつもの見慣れた無機質でなんの感情も抱いていなさそうな白い天井があるのだから。
今回ではどのくらい寝てしまっていたのだろう。一週間か、それとも1ヶ月か。
冬眠、とでと言うのだろうか。吸血鬼というのは不便なものだ。蝙蝠に擬態できるとはいえ、流石に代償が大きすぎるだろう。
いや、そんな事よりももっと言うことがあった
「私っ、を、ち、っそく…させる、気か…此奴…!?」
布団が重い。勢いに任せて思い切り蹴飛ばすと、ちょうど部屋に入ってきた私を窒息させようとしてきた張本人に当たってそのまま後ろへ倒れた。
ゲホゲホと咳き込みながら布団から這い上がる。そのままカーテンを開けると、朝日が差し込んできた。
私が起きたことに気付き、驚く彼を横目に見つつ、久しぶりの朝日をゆっくりと見つめる。
いつの日か、また外に出てみたいものだと思いながら。
6/9/2024, 1:37:52 PM