ちどり

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 小さい頃、タンポポの綿毛が好きだった。

 黄色い花を咲かせたあとにできる、ふわふわの綿毛。

 そっと傍らにしゃがんみ、蝋燭の火を吹き消すように、小さなシャボン玉を沢山作るときのようにふぅっ、と吹くとブワッと綿毛が飛ぶのが楽しかった。

 吹いても中々飛ばない綿毛があると、意地になってずっと吹いていたり、寧ろ吹かずに軽く手で掴んでは宙に放ったり、タンポポの軸を持って左右に揺らしたこともあった。

 何れにせよ綿毛は飛び、幼い頃はよく見ていた『空を飛びたい』という夢を叶えるのに綿毛を使うのもありだな、なんて考えたりもした。

 そういえば、高校生位になってから久しくタンポポを見ていない気がする。

 それくらいから、夢を見なくなったんだなと少し寂しくなった。
 たまにはタンポポの綿毛探しも良いかもれない。
 
「夢見る綿毛」 
⊕風に身をまかせ

5/14/2024, 11:00:56 PM