ゆずし

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「「あっ」」

放課後の教室、西日が差し込むその場所で廊下にいる彼女を見つけた。気の抜けた言葉は、きっとぼくの持つノートのせいだろう。誰にも言えない事、秘密を抱えている。そして彼女の場合、それをノートに書き記していた。

秘密のノート。忘れ物だと思って、持ち主を確認しようとした瞬間偶然にも開いたページには。

───ぼくの事を『好き』だと仄めかす文章が。

「あ、あぁあ……見た、の?」
「いや、本当にたまたま……その」

ごめん、とぼくは謝った。勿論、それで済むような話じゃない。「それで……」と切り出す彼女の言葉を遮ってぼくは誘いを持ち掛けた。

「……帰りにカフェでも行く?」

ぼくと彼女が付き合い出すのは、その日の夜からだった。

2/7/2023, 10:28:34 AM