お母さんが死んだ、でもそれはわたしだけではなかった。
「お母さんが死んだんです」を、大して仲良くもないひとにまで、なんども、あいさつのつぎに、話して話して次の日からの毎日をなんとかしようとした(はたちのわたしのがんばりかたは、それだった)。
そうすると時々、「わたしも早くに親を亡くして」というひとが現れた。変になっちゃった世界に幼馴染を見つけたみたいな、ちょっとつまらないみたいな、そういう熱をもらって、わたしは何か取り戻していったと思う。
「ひとりじゃないよ」みたいな歌詞は、そのときも今も、わたしにはひびかない。ただもっと乾いた事実としてわたしだけではないということが、わたしをわたしに閉じ込めさせるのを止め、わたしは生きた。
7/18/2024, 1:16:49 PM